――摩擦圧接加工のきっかけ
元々弊社の主要顧客のオオクマ製作所様に仕事を出していたんですね。そちらは摩擦圧接を請け負っていたところでそこで製品を作っていたんですけれども、機械のパラメーターとかをいろいろセッティングするのに向こうで結局間違いで品質が安定しなかったんです。そこでセイコーの方に機械を貸与するからセイコーの方で施工依頼を受けたんですね。うちの方でそれをゼロから四苦八苦して製品を立ち上げて、品質管理もそこで確立して注文をもらって量産が始まりました。
――摩擦圧接機を購入し事業拡大へ
その後、ものづくり補助金で弊社自身として初めて新しく圧接機を買ったんです。その時に少し汎用性のある仕様にしたら、さらに注文も受けれるんじゃないかということで新しい製品ができる仕様をインプットしてそれを導入しました。それからポツポツお問い合わせがあるものですからそういったものに対応していく中で、元々のオオクマ製作所様が廃業するという話になり圧接機と今までやっていた仕事と一緒に引き継いだという形で引き取ったわけです。
――摩擦圧接加工を中心とする精密金属加工
ホームページの方に摩擦圧接機を持ってきたことを表現したところ、そこでまた摩擦圧接を検索してセイコーが出てきたということで新規の引き合いとかも増えてきました。元々セイコーは精密金属加工の会社でワンストップ受注対応のスタンスで仕事をしていたわけなんですけども、そこに摩擦圧接というものを一つの技術として今までと同じような精密金属加工のワンストップ対応ということにすれば、従来の精密金属加工と摩擦圧接との二つの融合で新しいお客さんも呼び込めるかなというふうに考えていてそれが受注が来るようになってきたんです。
――摩擦圧接が新たなビジネスチャンスに
精密金属加工だけだと競合他社も多く、差別化ができないということで「摩擦圧接」というキーワードを追加することで他社とのすみ分けができました。精密金属加工だけだとやはり価格の競争になってしまってなかなか利益が出しにくい、売り上げもなかなか取りにくいということがあったんです。そういった中で戦うことじゃなくてこれからのビジネスとして精密金属加工プラス摩擦圧接で独立したビジネスというものを提案していくことで付加価値が生まれて新たなユーザーと利益率の確保に向かっていけるんじゃないかと考えました。
――摩擦圧接加工の有利性
特に中空タイプの金属加工は切削加工じゃ絶対できないんですね。要するに切削加工って刃物を当てるわけですから、パイプ形状のものだったらできるけども外から刃が入らないと中をくりぬけない、そうすると切削加工では絶対できないという話です。そこで金属同士を接合するわけですけれども、例えば溶接だと外周だけの接合なのでそれほど強度が確保できないし、あと溶接そのものが強度が安定しないんです。あまり強度保証が要求されないところには溶接はいいのかもしれないけれども、強度保証、金属としてその母材同等の強度保証が必要な時は摩擦圧接の方が有利で適合していると思います。
――摩擦圧接機加工の請け負いが少ない現実
摩擦圧接のノウハウというものは、ほかにも摩擦圧接をやってるところはありますけれどもやはり皆さん独自に研究してるもので、他社があの製品を作っているから同じ圧接機を設備導入してもそうはできないと思います。摩擦圧接機は持っていること自体が珍しいのと、摩擦圧接機を持っているところは自身のところの商品の専用機として持っていたりします。あとは弊社のように摩擦圧接というものを表に出してるところもいくつかありますけれども、そこで競合になるというよりもすみ分けと言いますか、専門性が高くなってしまうので一からの対応っていうふうにはできていない現状ですね。